真冬の訪れが叶う場合に

 

      もし御ばあ様はまだ生きてゐれば前にあるピアノを弾いてくれればのだろうか。御ばあ様は生まれる前からずっとピアノの魂に憧れていてすっとピアノの地面を触るだけで雰囲気が一変してみんな浮かび始まっていた。道のピアノでも良いからお願い、もしこの冬の雪にゆっくり沈んでいる家に又来ていただければ、貴方に白いケーキを作ってきっと純粋な味に思えるでしょう、御ばあ様。

 

      ね、ピアノってうまいのですか?本をたまに喰っても最近古い味がしすぎて何を噛んでいるかわからなくなっちまったのよ。だからもしピアノはうまかったらおばあ様のようにピアノの練習をして壁を撫でる幽霊になるまでにピアノを触って引いて食べて、みんなを勝手に飛ばさせる。というか今気づきましたが御ばあ様、貴方達も未だピアノを弾くことができますでしょうか。ピアノに食われないのですか?大丈夫ですか?みんなが申し出るのは、御ばあ様のような者って無駄なんだって。でもどうも、わたしには非常に重要で居なければ私達ってどのように死ねば良いか見当つかず、どこかで唐突に、爆発して醜い星になっちまうよね。

 

      もしかしたら、この冬に訪れていただければ、御ばあ様はよく知っている場所で、お待ちしとるね。恋しく思いつつ、大好きです。